時間/(絶対の愛) [韓cinema]
去年ユーロスペースでの公開を見逃していたので、年末にDVDで。
原題は『시간(時間)』というタイトルなのですが、日本版は『絶対の愛』。
(正直、この邦題はどうかしらん?と思わないでもないのですが…)
韓国版ポスターはホラー映画みたいですが…
映画の内容はある意味ホラーより怖いかも!
「なんじゃこりゃあ!!」てなストーリーで、
ラストのたたみかけはジェットコースター!
自分の姿に恋人は飽きてしまっているんじゃないか?
そんなことを考え詰めちゃった主人公の女性がとった行動は、なんと
「別人の顔にして下さい」、と整形手術!!
別人として恋人の前に再び現れ、別人として新しい恋人になるのだけれど…
ことの真相を知った恋人がとった行動とは…
キャー!!!!ありえない!!!!これを「絶対の愛」って呼んでいいのかあ!!??
相変わらず突っ込みどころ満載のギドク節健在、といった感じなのだけど
突っ込みながらも…うん。と共感してしまう自分もいて、そんな自分も怖え。
整形手術をした後、顔を隠して暮らしながらも、恋人の前に現れる。
っていうか、紫色に赤の唇柄のマスクって何!?
「車に乗っていきませんか?」とか声かけてる男も男やぞ!!
こんな変なマスクした女に声かけるか…?
どうでもいいんやけど、同じ喫茶店が舞台になりすぎ…
印象付けるためなのか、低予算がモットーなギドク映画だからなのか??
私がこの店の店主やったら、出入り禁止にするけどな~、と思うほど
二人の(というか女の)行動、迷惑三昧なんですけど…
気持ちは分かる。「こんなはずじゃなかったのに!」みたいな、
心がぐちゃぐちゃな場面。くしくも男も主人公の女が去った後に、酔って荒れて
蹴っ飛ばした同じ木を蹴っ飛ばす。象徴的な場面なんやけど…
尋常じゃない蹴り方の凄まじさに、はじめは共感もしつつ観てたのが次第に、
「…ていうか、この女の性格の問題なんじゃ…」っていう気持ちに…
最初のシーンであり、最後のシーン。これは、びっくりします!!
最後まで観ないと分かりません!!
ほんとに、ギドク監督ってば、びっくりさせんの好きなんだから
鰐(ワニ) [韓cinema]
監督:김 기덕
原題:『악어』
大好きな、キム・ギドク監督の初監督作品がやっとDVD化。
ということで去年の暮れに観たものです。
キム・ギドク監督の次回作は、なんとオダギリジョーが
キャスティングされているということで楽しみな今日この頃。
(オダギリジョーが楽しみなのではなくて、彼が出てたら
大きい配給会社が買ってロードショーやるんちゃうかな、と。)
この作品は特に平たくお勧めとかではないんですが…
(かなり、荒々しい暴力的な映画です)
個人的に思うところが多かったので、内省的メモをば。
ほんまにギドク監督の原点みたいなものが詰まってる作品やなあ、
というのが感想。
そこから『うつせみ』みたいに完成度の高い作品を撮るほどに、
人って洗練されていくことができるもんやねんなあ、と感銘。
それで、あんだけ完成度の高い作品を撮った後から、
『絶対の愛』みたいに、またすんごい設定で、突っ込みどころ
満載な、ギドク監督らしい(と私が思う)作品撮っちゃうし…
洗練されてまとめ上手になることも、それをぶっ壊して新しい
ことに取り組むことも…人はどっちだってできて、
後者が例えまとまりに欠けていても、伝えようとしたことはちゃんと
観た人に伝えることはできる。ということが単純にすごいことやな、
とか色々考えてしまいました。
なんしか、もう映画撮らないなんて言ったこと撤回して、
撮り続けてくれていることがうれしい。
今年も私は LOVE KI-DUK だ~。
Mr.ロビンの口説き方 [韓cinema]
監督:김 상우
原題:『Mr.로빈 꼬시기』~Seducing Mr.Perfect~
私のアイドル、ダニエル・ヘニー(다니엘 헤니)の初主演作品。
たむけんサングラスもダニエルがかけるとセクシーなんです
出会いのシーンもラブコメっぽいオープニングで。
「そんなに自信があるなら、この僕をおとせるかどうか試してみたら?」だなんて!
ラブコメといえ、ほんまの男前が言わないと、どつきまわしたろか?
ってセリフですが…
私のダニーはどっから見てもMr.パーフェクトなので問題ありません。
まずは見かけから!とパーマかけて、ワンピ新調して、アピるぞ!
って張り切ったのに
「僕のおばあちゃんが着てたパジャマみたいな服だね」
なんつって出鼻をくじかれます。
セクシーに迫ろうと、シャツのボタンを大胆に開けて、彼の部屋を訪れるも…
反対にシャワーを浴びたばかりのセクシーな半裸体に返り討ちにあいます。
物語には殆ど関係ないシーンですが、一番重要な(私にとって)シーンですね。
この映画の主題歌のPVにこのシーンが出てくるのでPVは何回も観ました…
そう!
PVと言えば、この映画は韓国ぽくないラブコメを目指したのかな?
というような作品なんですが、音楽もお洒落な感じをだいぶ意識してます。
主題歌を、ダニエルがclazziquai projectのアレックスと一緒に歌ってるとこも豪華です
韓国語レベル幼稚園児以下の私でも、字幕無しで大体の内容が理解できたあたりは、
分かりやすいラブコメって感じですね。
まー正直、内容なんてどうでもええんです!!(ええんかい!)
英語版タイトルが「Mr.パーフェクトを誘惑する」で、
そのMr.パーフェクトを演じているのがダニエル・ヘニーだってことだけが重要!!
←エロワンピで誘惑を試みるシーン
でも、主人公を演じたオム・ジョンファ(엄 정화)もセクシーでかわいいです
エロエロ光線が若干くどいけどねっ。
9歳の人生 [韓cinema]
『아홉살 인생(9歳の人生)』、邦題は「僕が9歳だったころ」。
断然、原題の『9歳の人生』というタイトルがいいと思います。
この作品は、とにかくイイです!!!★★★です!
久しぶりにアタリの作品に出逢った感触です。お勧めです!!!
内容は、タイトルのまま、9歳の人生を描いたもので、もう、とにかくイイ!
ざっくり言うと、くるりの名曲「男の子と女の子」+αの世界です。
色んな部分で、今の日本だと撮れない作品かな、てなことを感じました。
何がそんなにイイかというと、子役がみんな、素晴らしい!
なんで、こんな風な演技をさせることができたんやろう…と観てましたが、
DVDオマケのメイキングや監督へのインタビューを観て、少し納得。
はっきりいって、分かりやすくかわいい顔をした子供はヒロインの子だけ!
他の子は…もう、なんつーか、イイ顔揃ってます。
興行的なことも考えないといけない映画制作で、こんなバクチうちみたいな、
もとい、贅沢なキャスティング、なかなか出来ません!!
自分の考えを信じて、やり遂げた監督、素晴らしいです!
でも、小学生時代、男子にモテたりするキャラから遠かった私が観たので、
映画の中の恋してる9歳は、せつないエピソードさえも羨ましかったかも…
マイ ファーザー [韓cinema]
韓国では今秋公開されたばかりの、
『마이 파더』(原題そのまま「My father」)観てきました!
私の大好きな、愛するダニエル・ヘニーの主演2作目というだけでなく、
かなり骨太な作品に仕上がっているということで、映画情報を横目に、
夏ごろから公開を待ちわびていた作品です。
日本での公開を前に、韓国の映画祭で、今作でダニエルが新人賞を総ナメ
にしてるってニュースも先行してたので、いやがおうにも期待が高まる。
韓国版のコピーが、”올 가을,눈물로 다가올 감동실화”ということで、
-この秋必ず涙を誘う、感動実話-そう、実話ベースのお話なのです。
小さい頃アメリカの家庭に養子縁組された主人公は、成人してから本当の両親を
探すために、在韓米軍の兵士として韓国に渡ることを決めました。
訪れた韓国で、両親を探すためにテレビの人探し番組に出演し、父親だと名乗る
男性から連絡を受けますが…その連絡は刑務所から。そして、男性は死刑囚。
父親だという実感も分からないまま、マスコミに促され、ぎこちなく抱き合います。
アメリカで大きくなるまで育ててくれた養父。思い出深い、赤いトラック。
本当の「父親」との距離を縮めるために韓国語を勉強する主人公。
TVの韓国語講座で丸暗記した「私はキムチとプルコギを食べました」
というひと言を、そのままお父さんにしゃべりかけますが…
「え?キムチなんて、いつ食べたの?」付き添ってくれたルームメイト
のつっこっみが入ります。キムチもプルコギも食べてません。
ちょっとおもしろいシーンで、笑いも起こっていましたが…
後では、色んな事実を知るにつれ変化していく主人公のやり場の無い
感情との対比を表すアクセントになっているシーンだと気付きます。
これもおもしろいシーンです。
韓国といえば、酒は焼酎のストレートですが、主人公はアメリカ育ちなので、
焼酎初体験。
(多分、サシで飲む場合、一気してグラスをあけたら、空のグラスを相手に
渡して、交互に飲むのだったと思う―これが前提ですが)
「グラスを(俺に)回してくれよ」と言われて、きょとんとしつつも言われるまま、
グラスをくるくる回しますが…コマみたいに本当に回してますから!
少し重めの映画ですが、合間に入る、笑えるシーンが爽やかです。
ダニエルはあまりにかっこ良すぎるので「かっこいい~!!」でいっぱいに
なってしまって、作品に入り込めないかと心配しましたが、なんとかクリア。
噂に聞いていた「ハンカチ3枚必要」は、私にはそうでなかったけど、
ラストに迫るにつれ考えさせられる作品で、最後はやはり泣きました。
子猫をお願い [韓cinema]
『고양이를 부탁해』…原題そのまま、邦題は「子猫をお願い」。
←韓国版。日本版、このシーンカットされてる。
2001年の映画で、日本で公開されたのは確か2004年くらいで、
ちょっと前の作品になりますが、青春映画の秀作です!
ペ・ドゥナが出ている(だけの)アイドル映画かと、観すごしておりました。
…モッタイナイ。
私が考える、青春映画に大切な要素がだいたい出てきます。
しょーもないことで涙が出るほどバカ笑い・ダッシュ・空・疾走するラスト。
「ハタチくらいの女の子」という、ハシカみたいなものを経験したことがない
男の人には、ややもするとソフィア・コッポラの映画をつまんないって言う人
がいるみたいなもんで、つまんないかも。
相当(勿論良い意味で)すっぱい、青臭い映画です。
タイトルの前に、ハタチ頃を経験する前の女子高生時代が。
映画中のハタチ頃の世界と対比になって、キラキラ印象的なシーン。
舞台が都会(ソウル)じゃなく、地方都市なのも、なんともすっぱい。
はじめて社会に出て、年上の男が年上ってだけで良く見えたり…ね。
ハタチ頃かー、そんなこともあったかな?
大きいろうそく2本たてて、20歳の誕生日パーティ。
友達が集まってくれるのに、年上の男にデートに誘わたからって、
当日になって「仕事が忙しいのよ」なんつてパーティ断わるものの、
相手の男にキャンセルされて、結局女友達と過ごす。
そういう、ハタチ頃の見栄。ああ、すっぱい!
「しばらく会わないと、友情も薄れてしまうのかな?」
20代も後半になると、そんな理由でせつなくなったりしない。
友達なのに、みくびったり、みくびられたことに腹をたてたり…
口には出さなくても、そうゆうこともあるかなって、観てると思う。
でも、また一緒にくだらないことでバカ騒ぎして笑えたり…のシーン。
「子猫をお願い」するシーン。ラスト、ある目的のために猫を預ける…。
日常の風景を重ねて繋いで、っていう手法で撮ってることで、
すごくリアルに映った女の子達の生活なのに、この映画のラストは
唐突に、嘘臭いほど青臭いので呆気にとられる。
でも、青臭くて結構!だって、青春映画なのだもの。
青春映画のラストは現実に無理に沿わせようとなんかしないで、
そのまま青臭さを疾走させて終わればいいのだ。
私にも妻がいたらいいのに [韓cinema]
原題『나도 아내가 있었으면 좋겠다』・・・
という訳で、邦題は原題直訳の『私にも妻がいたらいいのに』。
結婚願望ばりばりの主人公がストーリーを織り成すなかで、
このセリフ、誰が言ったんか、てなとこが気が利いております。
主人公-ソル・ギョング。『Oasis』、『ペパーミントキャンディ』で
私を泣かせに泣かせ、更にこんな一面を見せてくれちゃうとは・・・!
本格的な演技派な彼とはうってかわり、メガネ男子好きには、もう
たまらない、モテナイ、愛くるしい独身メガネを好演してくれています。
片思いばかりの少し冴えない塾講師役でヒロイン(日本版なら、絶対
深津絵里さんにオファーでしょう!な役)は、『ユア・マイ・サンシャイン』
他のチョン・ドヨンと、地味な作品ながら豪華スターですね。
二人とも上手いし、ほのぼのしてて、非常に好きな作品でした。
物語は2000年韓国が舞台ですが、1997年に主人公、
キム・ボンスは、まだ見ぬ未来のお嫁さんにヴィデオレターを
自分で撮っています・・・なさけなっ!「君はきっと美人でかわいくて
頭も良くて・・・」延々と語り続けます。おっさんやんか、自分・・・。
帰りの電車が停電で一時間止まった。
皆、暗い車内で携帯から誰かに電話していたのに、自分には
かける相手がいなかった。寂しかった・・・。
「こうなったら絶対結婚してやる!」
って、おっさんの愚痴ちゃうやろ・・・でも、ちょっと共感してしまう。
その後、友達の「俺今度結婚するよ」発言にぶち切れて、
「くそー!会社も休んでやる!」と車であてもなく走り出します。
お前は子供か・・・
物語の季節は梅雨。全体に雨のシーンが多い映画で、雨が
いろいろなきっかけを生み出したりと名脇役になっています。
まだ、相手が将来恋する相手ともお互い知らない状態での、
偶然の雨宿りです。チョン・ドヨン演じるウォンジュも色気ゼロ。
二人でエレベーターに閉じ込められるアクシデントにも、ボンス、
寝ちゃうし・・・(←でも、ちょっとかわいい)
ボンスのことが少し気になり始めたウォンジュ。なのに、あぐら
かいてマンガ読んでって、あんた、そりゃ男できないよ・・・
(まあ、この後、ちょっとかわいい一面を見せるんですが)
ボンス!男の機能も大丈夫なんか?とさえ思わせといて、あらら、
昔なじみで再会した女性とこうゆうことに・・・
すごい好きなシーン。ボンスがウォンジュにヤクルトをあげて、
「器の底を歯で穴を開けて、底から飲むのが一番おいしいんだ」
とか言われて、一生懸命歯で穴を開けるウォンジュ。
「ウォンジュさんって少女みたいですね」、ボンスのひとことに
舞い上がりまくるウォンジュは、勇気を出して翌日ある行動に・・・。
でも、・・・な展開になっちゃうんだけどね。
いろんなことがあったけど、ウォンジュの存在にやっと気付いたボンス。
傘、しっかり持ってるけど、「傘に入れてもらえませんか。」と彼女の
小さい折り畳み傘に入れてもらう、ってか入れてないw。
ここから小さな小さなやりとりを沢山交わしていくところも、ほのぼのと、
でも丁寧に撮られていて、観た後気持ちの良い作品。
浜村淳ばりにネタバレありありな内容になってしまったか・・・。
映画ものは絵だけアップしたほうがいいのかなあ?